このサイトは、警察庁に23年間勤めた弁護士による、コンプライアンス、リスク管理、反社会的勢力対策などの企業法務と犯罪被害者問題、児童ポルノ問題など放置されている様々な社会問題について発信するサイトです。


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親の虐待により子供が殺されない為に法改正を直ちに

親の虐待により子供が殺されない為に法改正を直ちに
2010年4月25日
 最近、子どもに食事を与えず餓死させる、ゴミ箱の中に入れて窒息死させる、長期間にわたる激しい暴行を加えて殺害するなどすさまじい虐待の末に子どもを死に至らしめる児童虐待事案が相次いで発覚しました。
 わが国では子ども親の所有物であるかのような意識が強く、体罰もしつけとして容認する風潮があり、児童虐待に関する社会的関心も薄く、法整備も遅れています。
 ようやく平成12年に児童虐待防止法が制定され(16年、19年に改正)されましたが、事態は改善していないどころか、悪化の一途をたどっています。
 最近の事案でも、近所の住民は虐待が行われていることを知りながら通報しない、あるいは、児童相談所や学校が虐待を、保健所が乳幼児健診を受診していない家庭であることを、それぞれ把握していながら有効な対応をとっていない、などの事案が見られます。また、児童相談所が把握している事案を警察等の他の関係機関に連絡しない事態も多く見受けられます。
 さらに、虐待が疑われる家庭については、平成19年の改正で裁判所の許可により児童相談所が立ち入ることができるとされましたが、要件が厳格で迅速性に欠けるおそれがあり、実際にこれまで利用された事例はごくわずかにしかすぎませんし、そもそも虐待を加える親は暴力的で児童相談所の職員では十分に対応できない現実があります。
 一人でも多くの虐待されている子どもを救うためには、国民が虐待ではないかとの疑いを持った場合には積極的に関係機関に通報すること、児童相談所や学校、保健所、警察などの関係機関が情報を共有し、一つの機関が抱え込んで対応が遅れるという事態を避けること、命の危険が疑われるような場合には対処能力を持った機関が迅速に子どもを救いだすことができるようにすること(というよりも子どもを救いだすことを義務付けること)が必要と考えます。
 次に、虐待により殺される子どもを一人でも少なくするためには、虐待により子どもを死に至らしめた親に対する厳罰化が必要です。現行法では、すさまじい虐待により子どもを殺害した場合でも、裁判で殺意がなかったとして、傷害致死や保護責任者遺棄致死などで軽い処罰にとどまることが少なくありません。このような甘い処罰が子どもに対する虐待を助長させていることは疑いありません。そこで、刑法を改正し、虐待により子どもを死に至らしめた場合には、厳罰を科することとすることが必要と考えます。家庭という密室の中で助けを呼ぶすべもなく、すさまじい虐待により子どもを死に至らしめた親等については、通常の殺人よりも残虐性、悪質性が高いことは明らかであるからです。
 刑事的規制には謙抑的に対処することが重要なことは承知しております。しかし、被害者が成人である場合と、被害者が子ども、特に家庭という密室の中で助けを求めることもできず逃げることもできない子どもの場合とでは、刑事的規制の在り方に差異をつけることは許されると考えます。(*慶応大学法学部中谷瑾子元教授「児童虐待を考える」参考)
 また、わが国ではローマ法以来の法格言である「法は家庭に入らず」に従い、家庭内のことは家庭にゆだね、警察など公権力はできるだけ介入しないことが適切だと考えられてきました。この考え方は、古代ローマあるいは戦前のわが国のような「戸主」制度、あるいは大家族制により家族は家庭内で保護されることがある程度制度的に担保され、あるいは、地域社会の連帯意識が緊密で公権力に頼らなくとも地域で解決することが期待できる、という条件下で妥当するものでした。(*同上)
 しかし、戦後の民主化、核家族化の進展、地域社会の連帯意識の希薄化等に伴い、少なからぬ家庭は崩壊し、隣近所も「隣は何をする人ぞ」状態となり、家庭あるいは地域社会での犯罪抑止機能は急速に失われてきています。その結果、家庭内という密室で外部に助けを求めることができない子どもが、親により生命の危険にさらされ、親による虐待で多数の命が奪われるという事態となっています。そのような子どもを救うのは社会、国家の最大の責務です。そのために警察等の公権力を使うことを躊躇するべきではありません。平成16年の児童虐待防止法の改正の際に虐待が疑われる家庭への立入りを警察に認めるかどうか検討されましたが、「警察権力の濫用が懸念される」とする民主党の反対で導入されませんでした。その結果、子どもの命を救えなかった事案も多数あるのではないかと思います。子どもの命を救うために警察を使わなくてどうするのか、それとも、子どもが虐待死するたびに警察権力の濫用がなされなくてよかった、そううそぶく社会でいいとでもいうのでしょうか。
 以上から、次のような法制度及び運用の改善が必要と考えます。
                   


1 児童虐待防止法、刑法等関係法令を改正し、
(児童虐待防止法)
・児童虐待防止法で規定されている虐待が疑われる場合の児童相談所への通告義務の不履行について、教師、医師、警察官、保健所職員、養護施設職員、民生委員、アパート・マンションの管理人・管理会社など子どもに対する虐待に関する情報を業務上知りうることが多い者に対しては罰則をもって担保することとし、その他の者に対しては確実に虐待が行われていることを認識しているにもかかわらず通報を怠った場合にのみ罰則を科すものとする。
・国、地方自治体に対して、上記通告義務について常に周知徹底を図ることを義務付ける。
・児童相談所、学校、医療機関、保健所、警察等が虐待が疑われる情報を入手した場合には必ず他の関係機関に対して速やかに通報し、連携して迅速に対応する義務を課する。義務の懈怠の結果、子どもの命が奪われ、あるいは重大な障害が生じた場合には厳格な懲戒処分を課することとする。
・命の危険が疑われる場合には児童相談所、警察が家庭に迅速に立ち入り、虐待が認められる場合には子どもを救いだすことを義務付けることとし、義務の懈怠の結果子どもの命が奪われ、あるいは重大な障害が生じた場合には厳格な懲戒処分を課することとする。
・虐待を繰り返し行う親等に対しては、カウンセリングその他の必要な措置を受講することを義務付ける。

(刑法)
・刑法に特別の条文を設け、親等が執ような虐待行為により子ども死に至らしめた場合には、厳罰を科することとする。

2 児童相談所、警察の児童虐待防止に従事する人員を増員する。特に、児童相談所において児童虐待に関する業務に携わる職員は専門的知識を有するものをあてることとする。

3 虐待を受けた子どもの身体的・精神的ケアのためのカウンセリング、治療を行うための体制を整備する。
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