このサイトは、警察庁に23年間勤めた弁護士による、コンプライアンス、リスク管理、反社会的勢力対策などの企業法務と犯罪被害者問題、児童ポルノ問題など放置されている様々な社会問題について発信するサイトです。


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闇サイト(犯罪仲間募集サイト)禁止法の制定が必要だ

 現在、インターネット上には闇サイトとよばれる犯罪仲間の募集や犯罪の請負を行うことを内容とするサイトが多数存在しています。
 このようなサイト(以下「犯罪仲間募集サイト」という。)を利用して、見知らぬ者同士が共同して凶悪犯罪、詐欺その他の犯罪を行う事例が多く見受けられ、これまで主なものとして次の事件が起こっています。

07/8携帯電話上の復讐の請負いを内容とする闇サイトで女が男に復讐を依頼して、男は元交際相手の男性に硫酸をかけて、重傷を負わせた。
07/9 闇サイト「闇の職業安定所」で知り合った男3人が、名古屋市の路上で帰宅途中の女性を車に無理やり連れ込み、金員を奪ったうえで殺害した。
08/6闇サイトで知り合った男2人が、埼玉県でけん銃を所持してパチンコ店強盗を起こした。一人が警察に追跡され、けん銃自殺した。

 このほか、振込め詐欺に利用する銀行口座の開設その他の作業に闇サイトを通じて参加した者が多数使われている実態があります。
 ところが、これほどの凶悪犯罪、詐欺等の犯罪が起こってもこのような犯罪仲間募集サイトが依然として、放置されています。このことに多くの人はおかしいと感じていると思います。このようなサイトを利用して現実に凶悪犯罪が多数起こっているのですから、犯罪仲間募集サイト禁止法という法律を作り、このようなサイトの運営やこのようなサイトを利用して犯罪仲間の募集や犯罪の請負の申込みを行うことを法律で禁止することが必要ではないでしょうか。誰が考えてもおかしいことを放置しないこと、このような行為は違法であることを宣言することがまず重要であると考えます。
 犯罪仲間募集サイト禁止法は次の3本柱です。
第1に、インターネット上の掲示板を利用して犯罪仲間の募集、犯罪の請負などを行うことの禁止
第2に、犯罪仲間の募集や犯罪の請負などを主たる内容とする掲示板の開設・運営の禁止
第3に、一般の掲示板の管理者は、自己の掲示板に犯罪仲間の募集、犯罪の請負などを内容とする書き込みがなされていることを知ったときは、削除するよう努める
というものです。
 このような法律を制定することに対しては、すぐ、表現の自由を侵害するものだという反論がなされるのがわが国の現状ですが、表現の自由も無制約のものではありえないことは言うまでもありません。他人の自由、権利を害する名誉棄損、脅迫、侮辱などは既に刑法で禁止さており、これを表現の自由の侵害で許されないという人はいないはずです。犯罪仲間を募集する書き込みをすることは、単なる表現行為―書き込みを超え、現実に他人の生命、身体を害するような凶悪犯罪を起こしているのですから、表現の自由の保護の枠外にあることは自明なことだと考えます。そして、このようなサイトを開設し、運営することはそれを誘発・助長するものですから、同様に評価できると考えます。
 また、禁止することはともかく、罰則は行き過ぎでないのかという反対意見もあると思います。しかし、そもそもこれらの行為は現実に凶悪犯罪を引き起こす危険性があるわけですから、罰せられるべき行為と評価することは行き過ぎではないと思いますし、効果の面からも、罰則を設けて警察が捜査できるようにすることが必要だと考えます。罰則の担保なし、警察の捜査なしで、この問題が解決するとは到底考えられません。
 さらに、このような法律を制定しても、既に多くの書き込みは「危険なバイト」とか「高収入保証」などの記載が多く、「犯罪仲間の募集」と明示的に書いてあるものは少ないのが実情で、法律を制定しても現実には取り締まることはできず、効果はないという意見も考えられます。
 たしかに、この法律を制定しただけでこのようなサイトや書き込みが一切なくなることとはありえませんが、かなりの効果が期待できると考えられます。
 その理由は、第1に、ネット上で犯罪仲間を募集することが罰則付きで違法とされることで、このような書き込みをしようとする人が減ることが期待されます、第2に警察がこれまでより格段に捜査しやすくなるので、今まで以上に検挙できることとなるからです。
 これまでは、ネット上で犯罪仲間を募集することは自由な行為とされているわけですから、警察が捜査するにしても、書き込みをした者と接触して仲間になって、その者が犯罪の実行に着手しないと、検挙できず、相当の時間と体制が必要で、かつ、被害者に危険が及ぶことも考えられるわけで捜査することは著しく困難です。それが、ネット上で犯罪仲間を募集することが違法とされると、警察が書き込みをした者と接触して、犯罪仲間の募集をしていると分かれば、その事実で検挙できるようになるわけですから、かなりの効果が期待できるのではないかと考えられます。
 次に、このような法律ができると、「闇の職安」などと名乗っている犯罪仲間募集サイトはほとんどなくなると期待できます。日本テレビの調査によると、このようなサイトはごく普通の会社員が小遣い稼ぎでやっているものが多いということであり、違法とされ警察に逮捕される危険を冒してまで行う人は少ないと考えられるからです。
 さらに、かかる書き込みやサイトの禁止はともかく、一般の掲示板の管理者に削除を求めるのは行き過ぎでないのか、という意見もありうるところです。
 たしかに、一般のサイトの管理者に問題があるわけではありません。しかし、法律の制定によって、「闇の職安」なとど堂々と名乗った掲示板は姿を消した場合でも、このような書き込みは他の一般の掲示板に移っていくことが予想されます。したがって、そのままでは、犯罪仲間募集の書き込みが掲載され続けることとなり、それが原因で犯罪が行われる危険性が依然として残ってしまいます。
 そこで、一般の掲示板、すべての掲示板というわけではなく、書き込みをした人と閲覧した人が相互にメールで連絡がとれるようなシステムを有しているものに限っていいと思いますが、管理者にそのような書きこみがなされていると知ったときに、削除してもらえれば、さらにそのような書き込みが減るわけです。
 掲示板の管理者の書き込みの削除の違反に対しては、もちろん罰則などつけず、任意の協力を求めるという形で法律に規定すればいいと思います。同様の規定はすでにいくつかの法律にあります。
  1. 風俗営業等適正化法では、プロバイダは自己のサーバに児童ポルノ、わいせつ画像が記録されていることを知った場合には削除に努めなければならない
  2. 出会い系サイト規制法では、出会い系サイト業者は児童に対する性行為の誘引となる書き込みがあれば、削除するよう努めなければならない
とされています。
 普通の掲示板の管理者の方は、もちろんこんな書き込みがされることは不本意と言いますか、迷惑と考えられるでしょうから、今でも進んで削除してくれてる方が多いと思います。法律で規定することによりその取り組みがより促進されますし、また、削除した場合抗議してくる者もいるわけですが、そのような者に対して「法律に基づいてやっています」ということで、抗議に対応しやすくなるというメリットもあると思います。また、法律の規定に基づいて削除するわけですから、損害賠償責任はもちろん負わないということになります。

 繰り返しになりますが、この法律を制定しただけで問題がすべて解決するとは思っていません。ただ、犯罪仲間募集サイトやその書き込みを法律上違法とされていないことの弊害は明らかです。まず、このような行為は違法であることを宣言して、できるだけ少なくし、警察による検挙も進める。そして、関連事業者による対策その他の対策を併せて講じていくことで、より効果が期待できると思っております。何よりも、これだけの被害が出て、誰もがおかしいと感じていることを放置することをなくすことが重要だと考えます。
以上
後藤コンプライアンス法律事務所
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