このサイトは、警察庁に23年間勤めた弁護士による、コンプライアンス、リスク管理、反社会的勢力対策などの企業法務と犯罪被害者問題、児童ポルノ問題など放置されている様々な社会問題について発信するサイトです。


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子供の水着姿の画像提供を行う企業のコンプライアンス(3)

 このテーマの前回のブログでは、社会的・道義的に問題のある事業を行っている企業の問題が顕在化した場合における危機対応の観点からの問題を述べましたが、今回は、こうした企業の広い意味でのリスク管理、あるいは社外役員の置かれた立場について触れることとします。
 わたしは、拙著「企業コンプライアンス」(文春新書)の中で、「道義的、社会的に問題のある事業を行わない、事業の内容に問題のある企業に出資しないということもコンプライアンスの内容に含まれていると解釈すべきである。」(p132)、「コンプライアンス経営を掲げる企業であれば、事業自体が道義的、社会的に問題のないことが当然に求められる。収益が挙げられる事業であっても正々堂々とその事業の有用性について国民に説明できないものは行うべきでない。いずれ社会問題化されることも予想され、リスク管理の観点からも適切な対応が望まれる。」と書きました。
 子どもを性の対象とする事業やポルノに関する事業、あるいはプリペイド式携帯電話など犯罪に多く利用されている商品を販売する事業などを行い収益をあげることについては、社会的・道義的に問題のあることは明らかで、社会的責任を有するとの意識を有する企業の行うものではありません。
 しかし、残念ながら、今回報道された複数の大手プロバイダのみならず、上場企業、大企業の中でもこのような事業を行う企業が少なくありません。
 このような企業は社会的・道義的責任の感度が国民の期待するところより低く、コンプライアンス、CSR推進上問題であるわけですが、リスク管理の観点からも甘いといわざるを得ません。
 今回のプロバイダのケースのように、いずれ社会問題となり事業の中止を余儀なくされ、その折に社会的非難を受けるのですから、リスク管理の観点からはそのようなことになる前に撤退すべきでしょう。
 わたしは、拙稿「リスク管理体制の監査について」(「月刊監査役」2008.4号)の中で、

 「認識しているリスクに漏れはないか、重要度の評価が誤っていないか(たとえば「全社リスク」を「部門リスク」としていないかなど)、さらには、リスク管理方針の内容が妥当かどうかなどについて、定期的に(たとえば毎年1回)見直すとともに、自社あるいは他社の不祥事・事故の発生、法律による規制の強化がなされた場合などには、必要な見直しを行う必要がある。」

と書きましたが、かかる事案が報道されているわけですから、心当たりのある企業は、自社の事業の中で道義的・社会的に問題のある事業を行っている場合にはそれを「リスク」を認識しているか、あるいは認識していながら放置していないか、を「リスク管理委員会」などの全社的な立場から検討する必要があります。営業部門では収益を上げるため、継続したいと考えがちでありますが、コンプライアンス・リスク管理・CSR部門から、「あらゆる観点から問題だ」として中止させるべきでしょう。
 また、このような企業の社外役員はこれらの事業の中止を取締役会で発議するべきでしょう。収益を上げるために目をつぶるというのでは社内役員と同じであり、社外役員の意味がありません。今回のケースのようにリスクが顕在化した場合には、社外役員を含めて責任を問われることにもなりかねません。
 社会的・道義的に問題のある事業を行っている企業では、そのうち社外役員の成り手もなくなってしまうのではないでしょうか。少なくとも、そういうリスクもあるということを認識する必要があるでしょう。
以上
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