このサイトは、警察庁に23年間勤めた弁護士による、コンプライアンス、リスク管理、反社会的勢力対策などの企業法務と犯罪被害者問題、児童ポルノ問題など放置されている様々な社会問題について発信するサイトです。


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子供の水着姿の画像提供を行う企業のコンプライアンス

 平成20年9月29日読売新聞夕刊に「女児画像サイト横行 大手プロバイダー提供「性の商品化」批判」という記事が掲載されました。内容は、大手プロバイダー数社が、小中学生の女児が水着姿で様々なポーズをとっている画像を、会員制のグラビアコーナーで、月3,000円前後の利用料を払えば、見ることができるサービスを提供しているというものです。
 わたしは、この件につき取材を受けコメントしましたところ、同紙に以下のようなコメントが掲載されました。

「海外では水着を着ていたとしても性的な興味を呼び起こすようなポーズをとっていれば児童ポルノに当たることもある。そうした写真を何十枚と掲載し、有料で閲覧させるのは明らかに性的なサービスの提供であり、名前の知れた大企業のすることではない。」

記事はわたしのコメントの要約ですが、私の見解を補足しますと次のとおりです。

「水着姿であっても小学生に性的なポーズをとらせた場合には、その内容によってはわが国の児童買春・児童ポルノ禁止法上の「児童ポルノ」に該当する場合がある。それが、何十枚もあり、しかも、有料で提供し、商売しているような場合には、その悪質な情状も踏まえて摘発される可能性は十分にある。仮に、違法でなくとも、小学生に水着を着させて性的なポーズをとらせた写真を売ることは、子どもを性的な対象として金儲けすることであり、とんでもないことである。名の知れた大企業のやることではなく、コンプライアンス意識が極めて低いし、リスク管理もなされていない。」

 プロバイダ各社はかかる画像をある大手企業の関連会社から提供を受けているとのことです。これらのプロバイダのうち、ビッグローブは直ちにかかる画像の提供をやめるとのことですが、OCNは「水着や布を身に付けており、児童ポルノには該当しない。」、ニフティとソネットは「サービス内容がだんだん過激になっていったかもしれない」としながらも、当面中止の予定はない、と記事には掲載されています。
 通信関連事業者は大企業であっても、これまでもポルノで商売をしてきました。NTTのダイヤルQ2サービスはアダルトコンテンツの提供に利用され、NTTは情報料の回収代行手数料などをその収益としていましたし、ヤフーオークションでは「アダルトカテゴリー」が設けられています。しかし、子どもを性的な対象として商売のネタにすることを大企業がやっているということは、悪質性が一段違います。被写体とされた女児が将来苦しむ可能性は否定できませんし、子どもを性の対象とすることを容認する社会風潮を助長することにもなるでしょう。
 また、これらの企業のコンプライアンス意識に重大な問題があります。拙著「企業コンプライアンス」(文春新書)の中で、「道義的、社会的に問題のある事業を行わない、事業の内容に問題のある企業に出資しないということもコンプライアンスの内容に含まれていると解釈すべきである。」と書きました(p132)。さらに、「コンプライアンス経営を掲げる企業であれば、事業自体が道義的、社会的に問題のないことが当然に求められる。収益が挙げられる事業であっても正々堂々とその事業の有用性について国民に説明できないものは行うべきでない。いずれ社会問題化されることも予想され、リスク管理の観点からも適切な対応が望まれる。」とも書きました。
 前記のとおり、ビッグローブは直ちにかかるサービスを中止するとのことですが、他のプロバイダは継続するとのことです。特に、記事によるとOCNは「水着や布を身に付けており、児童ポルノには該当しない」としていますが、そのような解釈はいかなる根拠によるものか疑問でありますし、仮にそうだとしても法律に違反さえしなければいいというのでは、コンプライアンス意識が極めて低いとしかいいようがありません。
 さらに、OCN、ニフティ、ソネットの各社の対応は、コンプライアンスのみならず危機対応の観点からも疑問です。子どもを持つ親や良識ある国民が子どもを性の対象とする内容の営業を継続するプロバイダをどう判断するのか。その他の利用者、株主、取引先、監督官庁にどう説明するのか。また、プロバイダをはじめとする通信関連事業者は、インターネットをめぐる様々な問題について民間の自主規制に委ねるべきだとして、法規制に反対することが多くありますが、今回大手プロバイダですら児童ポルノ問題に関しこのような意識であることが明らかにされたわけで、法規制に反対する彼らの主張が説得力を失うこととなるでしょう。
 ビッグローブを除いた各社は、トップにまで上げずにかかる方針を決めたのであれば企業風土が問題ですし、トップにまで上げての判断であれば経営責任の問題となるでしょう。これらの各社は、目先の利益に目を奪われ、コンプライアンスの点のみならず危機対応にも失敗したものといえるでしょう。
後藤コンプライアンス法律事務所
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